ミニマリスト「本の庭」の本と趣味だけのシンプルライフ

20代ミニマリスト女子の生活と趣味について。モノが溢れていた実家から抜け出して、モノの代わりに趣味を増やしたい。

【書評】あのアガサ・クリスティーの名作「オリエント急行殺人事件」をやっと読んだ

こんにちは。本の庭です。

 

あのアガサ・クリスティーの名作「オリエント急行殺人事件」を

やっと読みました。

 

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やっとです。

 

読書好きを名乗っているのに、これまで読んでこなかったのは、

自分でも何をしていたんでしょう、という感じです。

 

今日はその書評をしていきます。

実は書評をこうやって世の中に発信するのは初めてなので、

少し緊張しますが、拙い文章もご容赦いただけるとありがたいです。

 

できれば、意見交換もしたいですね。

 ネタバレはありません!というかもう、皆さん結末知ってますかね。笑

 

 

あらすじ

 

オリエント急行殺人事件」というタイトルを聞いたことがない人はなかなかいないんじゃないかと思います。

イギリスを代表する推理小説作家、アガサ・クリスティーが書いた、超有名な、推理小説です。

 

あらすじは、オリエント急行という寝台列車の中で起こる殺人事件。

オリエント急行が、トルコのイスタンブールからフランスのカレーへ向かっている道中、

ラチェットという男が何者かに殺されてしまいます。

それを偶然その列車に居合わせた、名探偵であるエルキュール・ポアロ

乗客の証言や物証を参考にしながら犯人を解明していく、というお話です。

 

 

 

アガサ・クリスティーはこの他にも有名な推理小説をたくさん書いていて、

そして誰もいなくなった」や「ABC殺人事件」などがありますね。

今回の主人公にもなっているポアロは、他の小説でも探偵役として登場しているみたいです。

私は、アガサ・クリスティーの小説はこの「オリエント急行殺人事件」が初めてなので、他の作品も読んでみたいですね。

 

映画やドラマなどにもなっているので、知らない人は少ないと思いますが、

案外原作を読んだことがある人は少ないのではないでしょうか。

 

私の中であるあるなんですが、

現代作家の小説は、発売と同時に買う、みたいなミーハー心で読むことが多いんですが、

こういう古典文学になると、

「よし!読むぞ!」というなんとなくきっかけが必要。

 

ちょっとハードルが高くてなかなか手を出せていなかったのですが、

今回友人に勧められて、重い腰をやっとあげました。

 

全体を通して私は結構この王道推理小説、新鮮で好きだったので、

よかった点を3つにまとめています。

最後に少し苦手だったところも1つ書いてます。

 

 

よかった点①  推理小説の醍醐味!探偵と一緒に推理していく楽しさ

このオリエント急行殺人事件推理小説では王道の構成になっていて、

探偵役の目線で話が進んでいきます。

 

容疑者はオリエント急行に乗っていた乗客全員。

その中の誰が犯人なのか、最後までわからないので、

探偵役のポアロと一緒に、乗客一人一人の証言を参考にしながら、

推理していく楽しさがあります。

 

章立てもかなりわかりやすく

第一部 事実

第二部 証言

第三部 エルキュール・ポアロ、じっくり考える

という構成。

 

最初の「第一部 事実」の部分で、殺人事件が起こります。

そして、「第二部 証言」で乗客一人一人から、

殺人が起きた時のアリバイや、被害者との関係、その他手がかりになりそうな質問をしていく。

第三部で、探偵のポアロがその証言をもとに徐々に

真実を明らかにしていきます。

 

目次を読んだ時点で、「ああこういう構成で進んでいくんだな」というのがわかっていたので、

私は、第二部を読み終わったところで、すぐに第三部に入る前に少し頭を整理するために第一部に戻って読み直したりしました。

 

どうしても自分自身で犯人を当てたくて。

 

私はいつも、推理小説は結構本気で挑んでしまって、

探偵と同じ目線で誰が犯人かを当てていきたくなってしまいます。

 

今回は登場人物も多く、国籍やキャラクターもバラバラだったので、

かなり頭の中で登場人物をイメージするのが大変だったので、

紙に書き出しながら、当時の一人一人の動向を整理してしまいました。(かなり本気)

 

結局、そうやって第一部・第二部を2回読んだけど、

犯人に確信が持てず、諦めて第三部を読んでしまいましたね。

 

まあ、犯人がわかる、わからないは問わず、

ここからが答えですよ!というのが、目次を読んだだけでわかるので、

かなり推理ゲーム的な要素も含めて楽しめました。

 

結構話が複雑なので頭をひねりながら読めます。

 

 

よかった点② 国民性を皮肉るユーモア

 

私が今回読んだのは、光文社出版の安原和見さんの翻訳の本なんですが、

この裏表紙のあらすじにこう書いてあります。

豪華列車「オリエント急行」が大雪で立ち往生した翌朝、客室で一人の富豪の刺殺体が発見される。国籍も階層も異なる乗客たちには皆アリバイが…。(光文社出版『オリエント急行殺人事件』裏表紙より引用)

 

オリエント急行の乗客、つまり容疑者は国籍も階層も様々な人たちです。

探偵のポアロはベルギー人、被害者はアメリカ人、

乗客は、アメリカの未亡人に家庭教師をやっているイギリス人女性、

イギリスの植民地インドの大佐を務めるイギリス人男性に、

ロシアの公爵夫人、陽気なイタリア人に、スウェーデン出身の伝道団の寮母。

 

探偵のポアロが推理していくときは、必ずしも物証だけでなく、

心理学的な側面や国民性みたいなところも反映されていました。

 

例えば、「イギリス人ならこんな感情に任せた殺し方はしない、

これはイタリア人の仕業だ」みたいな偏見を持った発言をする登場人物がいます。

 

 

そんな今じゃそんな偏見さえ古い考えと思われてしまうような

「典型的な偏見」も参考にしつつ推理していく

ところがなんとも大胆だなあと感じました。時代ですかね。

 

最後までこの国民性の壁を超えられないまま

乗客同士がお互いを疑っていくのかな、と思いきや、、、

という展開だったのも私としてはすごく好きでした。

 

これ以上はネタバレになりそうで言えないですが。

 

 

 

よかった点③ 電車の中という非日常の中だけで完結する殺人事件

私が一番、これが面白い!と思った点がここですね。

 

オリエント急行が雪で足止めを食らってしまった中で、起こった殺人事件。

登場人物は探偵のポアロと乗客、乗員しかいません。

 

そして、事件解決も電車が動く前までに終わります。

 

この非日常の雰囲気がなんともハラハラして、

連続殺人でも起こるんじゃないか?

極悪犯がいるんじゃないか?

みたいな妄想が広がって楽しかったです。 

 

 

電車の中で話が完結することに関しては、

探偵のポアロも作中でこんな風に語ってますね。

わたしの考えでは、この事件がきわめて興味深いのは、警察なら利用できる手段がここにはまるで存在しないというところなんだよ。どの人物についても、身元の確認をとることができない。推測に頼るしかないわけだ。わたしに言わせれば、これは面白くてたまらないよ。(p.250) 

 

ここを読んで、ポアロわかってるね〜、と一人で嬉しくなってしまいました。

何様だよ、という感じですが。

 

そう、一人一人の証言に対して

この人が正しいと仮定したとき、何が導き出されるか。

この人が嘘をついていると仮定したとき、何のために嘘をついているのか。

これをそれぞれの証言で考えていく緻密さが必要で、

この作品はまさにそうやって丁寧に描かれた作品ですね。

 

本当にアガサ・クリスティーの頭の良さに感服してしまいました。

王道の推理小説

 

なんでもっと早く読まなかったんだ、と後悔してしまうくらいです。

 

ここが少し苦手を敢えて言う

称賛の嵐で終わるかと思いきや、最後に少し、

ここが苦手でした、と言うところも書いておきます。

 

それは

翻訳独特の言い回しと訳しきれない原文の面白さです。

 

これは「オリエント急行殺人事件」の作品に限ったことではないんですが、

わたし実は、あまり日本語訳された海外文学が好きではなくて、

その理由がこれです。

 

英語で書かれたものを訳すと、

どうしてもなんか不自然な日本語ってありますよね。

 

わたしは大学で言語系を勉強していたのですが、

やはり言語と文化っていうのは切っても切れないものなので

ちゃんと日本語に訳しても、

そんな表現日本人ならしないよね。

日本ならそんな場面ありえないよね。

みたいな違和感を所々感じてしまいます。

 

その違和感が気になって、あまり物語の中に入り込めなかったり、

入り込むのに時間がかかってしまうんですよね。

今回のオリエンタル急行も結構最初、この文体に馴染むのに苦労しました。

 

あと、今回のこの作品でいうと、

登場人物の発言が、どの言語で発せられたものかっていうのが、

結構肝になってきたりしていたので、

特にそれは日本語にしてしまうと、アメリカ英語でもイギリス英語でも、フランス語でも、全部が日本語なので。

 

これって、難しい問題ですよね。

原文で読めるのが本当は一番いいんですけど。

それはそれで英語理解するのに時間がかかって楽しめない。っていうジレンマです。

 

 

まとめ

最後に少し苦手なところも書きましたが、

総じてわたしは「オリエント急行殺人事件」すごく好きでした!

 

最近読んでいる本は、結構、家族の物語とかのが多くなってきてしまっていたんですけど、

久しぶりに王道の推理小説読んで、頭使ったので、

やっぱり推理小説も楽しいなあと、ワクワクできました。

 

古典文学って言っても堅苦しさもなく、時代錯誤なわかりにくい設定もなかったので、

とっても読みやすかったですね。

 

やっぱり、長い間いろんな国で読まれている本ってすごいですね。

この小説がいろんな国でいろんな言葉で、いろんな環境で育った人に読まれていると思うと、本当に古典文学ってすごい、とただただ素直に感動しました。

 

では、今日は感動のあまり長めに話しましたが、

30分とちょっと経過したので、また次回。